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まんま!!
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え~っと、これは確か『第9回リトバス草SS大会(仮)』の時(お題は『文字』)にだそうかと思ったやつなんですが、その時は時間にまだ余裕があったのでボツにすることができました(いつもは時間無いの!?

っということで、とりあえずここでUPしておきましょー♪

なんとも無理矢理感の漂う話ですw
『ひとつの友情』よりはマシ?
50歩100歩ですね、多分(微笑)


『携帯』


 ある日の授業中、携帯に鈴からメールの着信があった。ちょうど恭介が運営している『恭介の一問一答』のページを見終えたところだった。内容を確認する。

『ひまだ、なんかやってくれ(∵)』

 なんか、来ヶ谷さんみたいな事言ってくるなぁ、鈴。

『嫌だよ』

 僕はすかさずそう送る。


ブーーーッ ブーーーッ


 どこからか、バイブレーダの音が聞こえる。

「誰だ、授業中に携帯の音を鳴らしたやつは!」

 先生が恐ろしい形相で辺りを見回す。そこでメールが着た。

『やばいΣ(∵)』

 あぁ、やっぱり鈴だったか…。
 先生が教室中を探し始めた。このテの先生は見つけるまで授業を進めない。だから音を鳴らした携帯の持ち主でない生徒達は半分休み時間状態だ。だからと言って立ち歩いたりすると怒られるからほとんどなにもできないが。
 本当なら僕も休み時間状態になるはずだったんだけど、なにしろあの音の主が鈴だ。見捨てるわけにもいかない。でも、これ以上鈴にメールを送ったらばれる…。
 こんな時こそ皆の力を借りる時だ。僕はクラスにいるリトルバスターズメンバー全員に協力を求めるメールを送った。そう、クラスにいるメンバー『全員』に。


ブーーーッ ブーーーッ


 そう、間違って鈴にも送ってしまったんだ。

「ん、その辺りで音がしたぞ」

 先生が鈴に近づいてくる。

『どうすればいいΣ(∵)』

 鈴、打ち込み早いなぁ…というツッコミは置いといて、僕も早急にメールを打つ。幸い今は鈴の隣の席の生徒の携帯をチェックしている。鈴に背を向けた状態で。

『来ヶ谷さんに投げて』


ブーーーッ ブーーーッ

「ん?」

 素早くメールを読んだ鈴は先生が鈴の方に振り返る前に来ヶ谷さんの方に投げた。

「棗、お前か!」

 そう言われた鈴の手元にはすでに携帯はない。

「棗、携帯をだせ」
「ない」
「嘘をつけ、今鳴っただろう」
「ない」

 攻める先生に鈴は『ない』と突き通した。先生は机の中を覗く。ない。ポケットも探る。ない。

「…あれ、ないな?」
「だから言っただろう」

 先生は頭に『?』を浮かべていた。

「じゃあ誰が持ってるんだ」

 先生は再び探し始める。

 そこで鈴からメールが届いた。

『この携帯、私がもっとくのか?』
『うん、お願い』

 あ、しまった…!!
 鈴からメールが来た、だから僕は反射的に鈴にメールを返した。っと、言う事は…。


ブーーーッ ブーーーッ


 来ヶ谷さん質悪すぎ…。絶対楽しんでるよあの人。

「む、こっちか」

 先生は来ヶ谷さんの方へ向かう。今度は来ヶ谷さんからメールが来た。

『受け取れ、理樹くん』

 来ヶ谷さんのほうを向くとすでに携帯を投げていて、僕の目の前まで携帯が来ていた。

「うわぁッ!」

 思わず声をあげてしまった。

「ん、なんだ直枝」
「い、いえ、な、何でもないです…」

 必死で携帯を後ろに隠す。

「なんでもなかったらそんな声あげないだろう、お前が携帯をもってるんじゃないのか?」

 なんでそうなるんだ。

「じゃあ一体何で声をあげたんだ、授業の妨害か?」

 そう言いながら近づいてくる。
 こういう時の先生はなんでも疑ってかかる。生徒を信じないとは、駄目な教師だ。なんて悠長な事考えてる場合じゃない!

「こ、こここ、これはあれですよ、は、発声練習ですよ発声練習」
「発声練習ぅ?」

 先生の顔を見るとかなり疑っているようだ。顔が恐い。
 そのとき、視界の中に来ヶ谷さんが映った。来ヶ谷さんは指で何かを指している。その指の指す方向を見てみる。クドがこちらを向いて構えていた。

「じゃあその後ろに回した腕を見せてみろ」
「え、いや、これはまだ発声練習の途中なのでだ、駄目です!」

 どうしよう、いつ投げよう…。下手に投げたら気付かれるし…。

「ほぉ、じゃあ俺が回って見れば良いことだな」

 ヤバイ、ヤバイ! どうする、どうする!?
 先生が後ろに回りこんでくる。

「うわぁぁふうぅぅぅぅううぅぅうぅううぅうぅぅぅぅーーーッ!!」

 咄嗟に僕は教室中に響き渡るような声をあげながらクドのいる方へ鈴の携帯を投げた。
 驚いた先生は目を少し瞑り耳を塞いだため、気付いていない。

「直枝! 授業中だぞ!!」
「す、すいませんッ」
「全く、授業中だと言うのにお前は、人の迷惑になることぐらいわかっているだろう? 大体だな…」

 結局怒られるのか…。
 先生の説教はそれから10分間ぐらい続いた。



「わかったか、直枝」
「はい」
「よし、良い返事だ。発声練習の甲斐があったな」
「はい」

 正直のどが痛かったけど何とか我慢して返事をした。

「さて、何をやっていたんだっけな」

 先生は僕に説教をしていたためか携帯のことはもう頭にはないようだった。
 結局僕が説教されるだけなのか…。なんだか損な役割だ。でもまぁ、これで鈴が助かったのだから、良しとしておこう。授業も潰れたし。
 前向きに考える事にした。

 そこで一通のメールが来た。送り主は来ヶ谷さんだった。

『もう終わりか? つまらん』

 やっぱりこの人は楽しんでいたのか…。

『鈴が助かったんだし、いいじゃない』
『いや、だがそれだとつまらん』
『…変な事しないでよ?』
『スマン、もう遅い』
『…え?』
『真人少年の机を見ると良い』

 書かれていたとおり見てみると、真人が机につっぷくした状態で寝ている。
 僕が近くでアレだけ大きな声出してたのに平気で寝てたのかな…。
 そのいかにも寝苦しい体勢で寝ている真人の横には鈴の携帯が。

 まさか…。

 そう思った次の瞬間。


ブーーーッ ブーーーッ


 鈴の携帯が鳴りだした!!

「ん、なんだ!」

 黒板に文字を書いている先生が真人の方を振り返る。

「そうか、井ノ原、お前だったのか!」

 真人はまだ寝ている。
 先生が近づき、出席簿で真人の頭を小突いた。

「うがっ」

 目覚めた真人は寝ぼけ眼で先生の方をみた。

「さぁ、来てもらおうか、井ノ原」
「…は?」
「『は?』じゃないだろう、井ノ原、授業中に携帯を触っているとは良い度胸だなぁ」
「は? 携帯?」

 真人は状況が把握できていないようだった。

「じゃあこれはなんだ?」

 先生が真人に鈴の携帯を見せる。

「おぉ、携帯じゃねぇか、なんでここにあるんだ」

 あぁ真人! 言ってる意味はわかるけどそれ違う意味に聞こえるから!!

「来い」
「え、ちょ、まっ、はああああああああああぁぁあぁぁあああぁぁぁぁ!!?」

 状況が把握できていない真人は訳がわからないという表情で訳のわからない雄叫びをあげながら連れ去られて行った。ちなみに先生は鈴の携帯をうっかり真人の机の上に戻して、真人だけ連れて行った。

「素直に連れ去られる真人もどうかと思うけど……」

 真人ならその持ち前の筋肉で簡単に先生の手を振り払えるだろうに。まぁその時の真人は本当に『え、何!? 何が起きたの!?』みたいな表情だったし、そんなことは思い浮かばなかったのかもしれない。

 来ヶ谷さんメールが来た。

『ミッションコンプリート』
『いや、してないからっ!!』

 そしてそのまま授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。



 休み時間。

「あ、真人お帰り」
「…ただいま」

 真人はまだ『訳がわからない』というような表情を浮かべていた。

「っで、結局なんだったんだ?」
「えっと…ド、ドッキリだよ」

 咄嗟に嘘をついた。きっと本当の事を言うと真人激怒するだろうから。

「なんだ、ドッキリだったのかよ、びっくりしたぜ…」

 あぁ、真人が馬鹿で良かった…。

「ってことは俺ってすげえんじゃないのか?」
「どうして?」
「だってドッキリの対象に選ばれるんだぜ? それって凄くねぇか?」
「そ、そうだね、凄いよ…」
「うぉぉ、もっかいこねぇかなぁ、今度はバッチリ見抜いてやるぜ」

 その時、席に着いていた来ヶ谷さんの目が光った…気がした。


 メールが届く。送り主は来ヶ谷さん。

『次の時間もやるか』
『いや、やらないよ』

 僕が来ヶ谷さんに返信した直後、今度は鈴からメールが届いた。

『さっきのはおにこわかったけどくちゃくちゃたのしかったぞΣ(∵) つぎのじかんもやらないのか(∵)』

 鈴からも好評でしたか…。

『やらないよ』

 僕はそう返信した。


 次の授業。


ブーーーッ ブーーーッ


 どこかからか携帯のバイブレーダの音がした。
「誰だ、携帯触ってるやつは!」

先生が振り返って辺りを探し回る。この先生もまた、さっきと同じようなタイプの先生だ。

 鈴からの一通のメール。

『どうしよう(∵)』

 あ、鈴完全に楽しんでる。絶対これ棒読みだ。

 そして来ヶ谷さんからも一通。

『さて、始めるか』

 絶対仕向けたの来ヶ谷さんだな。
 僕はそう確信した。

 あぁ、真人はまたのんきに寝てるし、さっきと同じ展開になるのだろう。いや、多分違う。今度は真人はこれがドッキリだと思って先生に『ドッキリであることはこの俺の上腕二頭筋がお見通しだぁ!』とか言って自分の上腕二頭筋を先生に押し付けるんだろうな…。でも、それはそれで楽しそうだ。
 あれ、実は僕も楽しんでいるのだろうか。
 止める気が起こらないところから考えて、きっと僕は楽しんでいるのだろう。

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